【 第5話 別の道へ 】
12,3km地点だっただろうか。
ダイヤモンドヘッドに入る坂の手前、
カメラマンのUKさんを見つけた。
「Uさ〜ん」としのさんと2人で声をかけた。
なんとUさんの近くには、同じ仲間のMMさんがいた。
走りながら、UKさんに写真を撮ってもらい、
僕ら2人はそのペースのまま
ダイヤモンドヘッドの坂へと向かった。
MMさんも一緒に走っていたと思ったが、
すぐに姿がみえなくなってしまった。
どうやら僕らのペースが少し上がり気味に
なっているようだった。
そして、ダイヤモンドヘッドの坂へやってきた。
いままでに比べ、勾配がきつく道が狭い。
人であふれる中、僕は端を走り、
道路を区切るロープを握るボランティア米軍の方と
ハイタッチをしながら、前に進んだ。
思った以上に坂は、僕の足に負担を与え、
徐々にスピードを維持するのが難しくなっていく。
そんな中「Good Job」と言って応援してくれる
米軍の人とのハイタッチは僕に力を与えてくれる。
知らず知らずに
自分からハイタッチを求めるようになっていった。
そうして坂を上りきったが、
僕のスピードは8分30秒を維持するのがやっとだ。
つい数十分前にしのさんと話をしたり、
沿道の人たちの応援に応えたり、元気良くハイタッチをする
力はなくなっていた。
フリーウェイの手前にトイレがあった。
予想よりも並んでいたが
しのさんは「もう限界です」といって、
トイレに並ぶことにした。
僕はここで止まってしまうと、
走り続けることが困難になりそうで怖かったので、
「走り続けます」といって、
しのさんと別れた
16Kmを過ぎたあたりの出来事であった。
そうしてホノルルマラソンが始まって初めて一人になった。
よし、ここからは自分との戦いだ、
“しのさんと会うことはないだろうなぁ”と思いながら、
同じペースで走り続けた。
18Km過ぎからフリーウェイに入った。
フリーウェイはまっすぐな道が7Km続くと
事前に話を受けていた。
僕は同じペースで走ろうと思っていたが、
ハーフの距離を過ぎたあたりから
思うようにペースを維持できなくなってきた。
予想通り、
足の裏全体に痛みを感じるようになってきた。
カカトのアキレス腱をかばいすぎたせいだろうか、
妙につま先に痛みを感じるようになってきた。
早くもスタートから3時間が過ぎ、
逆車線は折り返してゴールへ向かうランナーが通る
そして4時間のペースランナーが過ぎた。
HKさんは、
4時間30分を切ることを目標にしていたことを覚えていた。
“ということはそろそろかなぁ〜”と
思いながら逆車線を凝視しながら走っていた。
来るはずの人が来ないことに少し不安になりながら走った。
2007年12月18日
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